前回作った線形写像の可視化ツールのおかげでイメージ力が高まった気がする。歩きながらいろいろな線形写像のイメージを膨らませていたら、ふと昔よく分かっていなかった式が「ああ、そういうことか。」と分かった。
式で書くとこういうやつ。
rank A + nullity A = n.
とか
dim (im T) + dim (ker T) = dim V.
とか。
(以下間違いなどあればご指摘ください。)
まずrank Aが写像先の空間の次元と同じになるということが分かった。
Aの中に線形独立じゃない列ベクトルがあると、写像先のある軸に関する値が別の軸たちの値によって決まってしまう(自由に動けない)ということになる。つまりAのrankが1つ減ると写像先の空間の次元が1つ減るんだなと気づいた。
次はカーネル。行列だとnullityと言うらしい。線形写像において写像先の空間が一個減るということは、先の空間の点に写像される元の点が1個じゃなくなるということを意味している(injectiveじゃなくなる)。
三次元空間で考えると、写像先空間の次元が1つ減る = 写像元の軸(軸って言ってるのは固有ベクトル)2つで写像先が決まるので、ある点に写像される写像元の点の自由度が増える。この例の場合は、直線上の任意の点が同じ1点に写像される。これをイメージすると、nullityの次元は写像でつぶれた次元と同じだなというのがイメージできた。
で結局上の式が確かにそうだなというのが納得できた。
ちょっと話はずれるけど、「rank(A) < nのときは写像がinjectiveじゃなくなる = 逆行列が存在しない = 行列式が0 = 固有値が0になるものがある。」もイメージで掴めた気がする。
injective(※1)じゃないから写像元が特定できない = 逆行列がない。これは当然。
さらにrank(A) < 0のときは、空間がつぶれている = 固有値が0になるような固有ベクトルがあるというのが固有空間をイメージすると分かる。
行列式は写像による体積の膨張率みたいなものなので、固有値が一つでも0なら0。
※1) 固有値0に対応する固有ベクトル成分は全部0につぶれるので、rank(A)のときはinjectiveじゃないし、surjectiveでもない。