固有方程式について
「行列Aの固有値、固有ベクトルを求めよ。」と言われると、まずdet(A - λE) = 0 (式1)
という式を解くと思う。この式の意味が把握できていなかったので考えてみた。
まず、(λ, x)をAの固有値、固有ベクトルとすると、
Ax = λx (式2)
が成り立つ。右辺を左辺に移動すると、
(A - λE) x = 0 (式3)
となる。ここまでは分かる。ここからなぜ固有方程式が出てくるかを考えてみる。(式3)を見ると、任意のtに対して(λ, x) = (t, 0)は解になっていることが分かる。線形写像なので、原点は原点に写像されるので当たり前。でもx = 0っていうのは固有ベクトルとして意味をなさない。固有ベクトルは写像に固有な軸なので零ベクトルだと意味がない。
固有ベクトルの定義[1]を見てみると、
An eigenvector of a square matrix A is a non-zero vector v that, when the matrix is multiplied by v, yields a constant multiple of v, the multiplier being commonly denoted by λ.
とあるので、やはり零ベクトルは固有ベクトルではない。
ということは、(式3)を満たすような非零ベクトルを探さないといけないことになる。
よって、(式3)は以下のように書くのがより正確だ。
(A - λE) x = 0, x ≠ 0. (式4)
これは、(A - λE) の固有空間を考えたときにある軸方向では写像元の値がつぶれてしまう(その方向の固有値が0)ことに他ならないので、(式4)を満たす(λ, x)が存在するためには(A - λE)の固有値のいずれかが0でなくてはいけない。つまり、(A - λE)の行列式が0でなければならない。これで(式1)が導出された。
気になったこと
上の式を考えていてふと気になったことがあった。Ax = b (式5)
の一意な解が存在するための条件はdet(A) ≠ 0なのに、
Ax = 0, x ≠ 0. (式6)
の解が存在するための条件はdet(A) = 0になるって何かおかしくない?
よく考えると、そもそも問題設定が違っていた。
(式5)は未知のxにある写像Aを作用させたら、xがbに移動した。xは何か?という問題。
(式6)はx ≠ 0であるようなxに未知のAを作用させたら、xが0に移動した。Aはどのような写像か?という問題。
なので、違っていて当然。
参考URL
[1] Eigenvalues and eigenvectors
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