「共喰い 」と「第三紀層の魚」という二話が収録されています。ストーリーそのものというよりも描写や文章で魅せる作家さんなのでしょうか?いつも読むのが伊坂幸太郎なのでストーリー展開には物足りなさを感じました。
「共喰い」の方はおもしろい表現がいくつかあって、そこに深い意味があるのか意味がないのか考えるのがなかなか難しかったです。一番謎だったのは、
「便所で小便のために引っ張り出した性器は、いま見たばかりの琴子さんの首とは全然似ていない。」
という一文です。特に意味がないと言われればそれまでですが、やたらと存在感のある文章で気に成りました。あ、でも読み終わった今考えるとこれは「父親の暴力性を受け継いだ自分」と「従順な琴子さん」を表すメタファーっぽいですね。
「第三紀層の魚」は、国語の教科書に載ってる小説みたいな感じでした。国語の教科書には載せてはいけなそうな「共食い」とは対照的ですが、両作には、”田舎”、”釣り”、”家族”、”血のつながり”といった共通点がありました。
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