スポーツで利用される機械学習の技術について語られる。プロのスポーツチームがデータサイエンスの手法を用いているのは有名だが、ここまで高度な技術が使われているのは知らなかった。機械がコーチにアドバイスするとか、もはやSFの世界だ。
ラジブ・マヒシュワラン氏と彼の同僚は”点の科学”に魅了された。
点とは何か?
点とは我々のことである。家庭やオフィスで移動する点、買い物や旅行をするときに移動する点である。この点は私たちの街を、そして、世界中を移動する。この点の動きを理解できたら素晴らしいことではないか?移動のパターン、意味を理解できたとしたら。
幸運にも、現在を生きる私たちには情報をキャプチャするための方法に恵まれている。
センサー、ビデオ、アプリなどをつかえば、移動情報を驚くべき正確さで収集できる。もっともデータ収集に適した場面の一つは”スポーツ”だ。
スポーツ選手の動きを点で表してみただけでは、面白いことは起こらない。
人間はこの生データをすべて見ることはできないし、機械はこの生データから意味のある情報を取り出すことはできない。
それでは、機械を学習させて、”コーチの眼”を与えるとどうだろうか?
まず彼らは、バスケットボールゲームを例に、パス、シュート、リバウンドという概念を機械に教えた。それからポストアップやピックアンドロール、ダウンスクリーンなどのより複雑な概念を教えた。
これらの概念をどのように教えたのだろうか?
例えば、ピックアンドロールというプレーはプレイヤーの微妙な動き、位置、タイミングなどのニュアンスが難しく概念を正確に表現することは困難だ。それを解決したのが機械学習である。
機械学習を使うことで、表現することが非常に困難な概念を機械に教えることができた。
機械に、「これはピックアンドロールだ」、「これはピックアンドロールではない」と教え、それらの違いを”コンピュータ自身に”学習させるのである。
今年のNBAチャンピオンシップに参加したチームのほぼすべてが、この機械学習ソフトを使っている。このソフトを使えばプレイヤーの動きを判定するだけでなく、試合に勝つために戦術をどのように変えればいいのかをアドバイスすることもできる。これはとてもエキサイティングなことである。30年間在籍したコーチが機械の出したアドバイスを喜んで受け入れるのだから。
今や機械はラジブ氏より多くのことを知っている。これはそれほど特別なことではない。
それでは、機械がコーチより多くのことを知っているだろうか?答えはYESだ。
我々は人間はプレーの良し悪しを感覚的には知覚できるが、定量的には知覚できない。機械にはそれができる。プレイヤーの位置・速度、ゴールまでの距離、ゴールとの角度などをもとに空間情報をモデル化し、シュート成功率を計算できる。
この機械のおかげで、プロの選手じゃなくても選手の動きを追うことができる。
そしてこれはスポーツに限定した話ではない。我々は常に移動しているのだ。
それは私の娘が始めの一歩を歩いた瞬間を教えてくれるかもしれない。建物のよりよい活用法や、よりよい都市計画を教えてくれるかもしれない。
”点の科学”により、われわれはよりよく、より賢く、前進することができるだろう。
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